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再生砕石によるCO2の固定について

投稿:2024-03-22 更新:2024-03-22

再生砕石は、コンクリート構造物としての供用中およびコンクリート構造物の解体から中間処分場での破砕・分級ならびに中間処分場での保管に至る再資源化過程で、表面に露出した未反応のセメント成分が大気中の二酸化炭素(CO2)と反応して固定化します。本号では、このメカニズムと固定量の概略について解説します。

再生砕石の構造

再生砕石は、コンクリート構造物が解体された際に生じる「コンクリートがら」を中間処分場で破砕・分級して製造されます。このため、再生砕石は天然石の周辺をセメントペーストまたはモルタル(セメントペースト+砂)が覆った構造になっています。

再生砕石の構造

再生砕石によるCO2固定のメカニズム

再生砕石のセメントペーストやモルタルには、未反応のセメント成分が存在します。この中には水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が含まれており、これが空気中のCO2と化学反応して、炭酸カルシウム(CaCO3)と水(H2O)が生成されます。これを化学式で表すと以下のようになります。

化学式

この事が、再生砕石によるCO2固定のメカニズムになります。天然砕石の場合、その周辺にセメントペーストやモルタルが存在しないため、 CO2が固定されることはありません。

黒姫グループの再生砕石でのCO2固定量分析結果

黒姫グループでは、各中間処分場で製造し、出荷までの間、場内やストックヤードで保管している再生砕石を試料とし、CO2固定量分析装置を使ったCO2固定量の把握を定期的に行っています。これまでの再生クラッシャラン(RC-40)の分析結果の平均値は、8.69kg-CO2 /トン であり、これは黒姫グループのRC-40では、1トン当り8.69kgのCO2が固定されていることを示します。

黒姫グループの再生砕石における年間のCO2固定量の概算

黒姫グループの年間での再生砕石製造量を35万トンとし、1トン当り8.69kgのCO2が固定されていると仮定すれば、年間で約304万トンのCO2が固定されていることになります。この量は、40年生のスギ人工林1万ヘクタール(1億m²)すなわち1辺が10kmの正方形に相当するスギ人工林が吸収するのと同じ量のCO2が固定されていることになります。

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